高血圧が続くとどうなる?放置で起こる心臓・脳への影響

公開日 2025.12.05
循環器内科の診察

高血圧とは?気づきにくい“サイレント”な病気

高血圧は、血管に常に強い圧力がかかっている状態を指します。
しかし、多くの方は症状がほとんどないため、**「沈黙の病気(サイレントキラー)」**と呼ばれています。

一般的には、診察室で
上(収縮期)140mmHg以上 / 下(拡張期)90mmHg以上
が高血圧とされています(一般的な基準)。

ただし、血圧は時間帯・気温・ストレスなどさまざまな要因で変動するため、
家庭での測定(135/85mmHg以上が続く場合)も重要とされています。

高血圧は自覚症状が乏しいまま進行し、知らないうちに血管・心臓・脳・腎臓など多くの臓器に負担をかける病気です。
気づいたときには合併症が進んでいた…というケースも珍しくありません。

安藤医院でも、健康診断の結果をきっかけに来院される方が多く、
「自分は元気だから大丈夫」と感じていた人でも、継続的な治療が必要になるケースがあります。

なぜ高血圧を放置すると危険なのか

血圧が高い状態が続くと、血管の内側に“強い圧力”がかかり続けます。
すると血管の壁に負担がかかり、徐々に傷つき、厚く・硬くなっていきます。
これが「動脈硬化」と呼ばれる状態です。

動脈硬化が進むと、血管が狭くなったり、詰まりやすくなったり、破れやすくなったりします。
その結果、心臓・脳・腎臓などの重要な臓器に血液が行きにくくなり、さまざまな病気につながります。

高血圧を放置すると危険なのは、
自覚症状がないまま、合併症が静かに進行するからです。

特に生活習慣病(糖尿病・脂質異常症)と重なるとリスクは高くなり、
日本では高血圧を背景にした心臓病・脳卒中が多く見られます。

心臓に起こる変化(心肥大・心不全・狭心症)

高血圧が続くと、心臓は「強い力で血液を送り出さなければならない状態」になり、負担が積み重なります。

● 心肥大(左室肥大)
血圧の高い状態が続くと、心臓の筋肉が厚くなることがあります。
これは筋肉を使いすぎているサインで、進行すると心臓の働きに影響することがあります。

● 心不全
心肥大が進むと、心臓が十分に血液を送り出せなくなり、“疲れ切った心臓”の状態になります。
息切れ・むくみ・だるさなどが出やすくなり、生活に支障が出ることもあります。
高齢化に伴い「慢性心不全」は増えており、早期の予防が非常に大切です。

● 狭心症・心筋梗塞
動脈硬化が進んだ冠動脈が狭くなると、胸の痛みや圧迫感が出る「狭心症」を起こすことがあります。
血管が完全に詰まると「心筋梗塞」を発症し、緊急治療が必要になります。

脳や血管に起こる変化(脳卒中・動脈硬化)

高血圧の影響は心臓だけではありません。
脳や全身の血管にも大きな負担がかかります。

● 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
高血圧は、脳卒中の大きなリスク要因です。
血管が狭くなって詰まる「脳梗塞」、血管が破れて起こる「脳出血」などがあります。
突然のまひ・言葉のもつれ・ふらつきなどは早急に医療機関へ相談が必要です。

● 動脈硬化の進行
血圧の高い状態は血管を硬くし、全身の動脈に影響を及ぼします。
動脈硬化が進むと、心臓や脳だけでなく、腎臓・足の血流にも影響が出ます。

● 腎機能の低下
腎臓は非常に細かい血管の集合体であり、高血圧は腎臓にも負担をかけます。
放置すると慢性腎臓病(CKD)につながることもあるため、早めの対策が重要です。

高血圧と生活習慣の深い関係

高血圧は、体質や年齢だけでなく、生活習慣も大きく関わります。

● 塩分のとりすぎ
塩分は体内の水分量を増やし、血圧を上げやすくします。
和食は塩分が多くなりがちなため、調味料の見直しが大切です。

● 運動不足
運動量が減ると血流が悪くなり、血圧が高くなりやすくなります。

● ストレス・睡眠不足
自律神経が乱れ、血圧が上がる原因になります。

● 体重増加
内臓脂肪が増えると血圧は上がりやすくなります。

こうした要因に気づかず生活を続けてしまうと、
“知らないうちに血圧が高い状態が続く”ことになりかねません。

家庭でできる血圧管理と受診の目安

高血圧は 「気づく → 継続して管理する」 ことで、合併症を大きく防ぐことができます。

● 家庭血圧を測る
毎日、

  • 朝(起床後・朝食前)
  • 夜(就寝前)
    の2回を同じ条件で測るのが一般的です。

一般的には、家庭血圧で
135/85mmHg以上が続く場合
は高血圧が疑われます(一般的な基準)。

  • 朝の頭痛・肩こり
  • 動悸や息切れ
  • むくみ
  • 胸の圧迫感や違和感
  • 健康診断で「血圧が高め」と言われた

症状がなくても、血圧が高い状態が続くと合併症は静かに進んでいきます。
早めに相談することで大きな病気を防ぐことができます。

安藤医院では、循環器専門医が高血圧の原因・生活習慣・合併症リスクを丁寧に評価し、
一人ひとりに合わせた治療方針をご案内しています。

まとめ

高血圧は、症状が少ないまま進行するため、気づいたときには合併症が進んでいることがあります。
しかし、早めの対策・継続した治療・生活習慣の見直しによって、リスクを大きく下げることができます。

「最近血圧が高い気がする」「健診で指摘された」という場合は、
ぜひ一度、ご自身の体の状態を見直してみてください。
小さな気づきが、心臓や脳を守る第一歩になります。

高血圧が続くと、心臓や血管に負担がかかりやすくなります。
症状が気になる方は、関連ページもあわせてご覧ください。

循環器内科|高血圧・心不全・動脈硬化の診療はこちら

生活習慣病予防(高血圧・糖尿病・脂質異常症)はこちら