心不全とは?息切れ・むくみの裏にある心臓のサイン|原因・症状・予防をわかりやすく解説

公開日 2026.01.29

心不全とは?心臓がうまく働かなくなる状態

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態のことをいいます。
「心不全=心臓が止まる病気」だと誤解されがちですが、実際は心臓が“弱っている”状態が続いていることを指します。

心臓は筋肉でできた臓器で、1日約10万回拍動し、全身に酸素を送り続けています。
しかし、何らかの心臓機能の異常・加齢・心臓以外の病気・生活習慣病などにより心臓に負担が積み重なると、心臓が硬くなる・厚くなる・動きが悪くなるなどの変化が起き、血液を十分に送り出せなくなります。

心不全は進行性の病気で、一度症状が出始めると治療を行っても悪化と改善を繰り返しながら、徐々に進行していく特徴があります。近年は高齢化や生活習慣病の増加により、心不全の患者さんが増えており、“心不全パンデミック” と呼ばれる社会的な問題にもなっています。

心不全で起こりやすい症状と体の変化

心不全では、心臓の働きが弱まることで、さまざまな症状が現れます。症状の程度は人によって異なりますが、次のような変化が見られます。

階段や坂道で息切れしやすくなるほか、症状が進むと横になったときに呼吸が苦しくなることがあります。
夜間に咳が出る、呼吸が苦しくて目が覚めるといった症状も心不全の特徴です。

血液の流れが悪くなることで、足の甲、足首やふくらはぎにむくみが生じます。夕方に悪化しやすく、靴がきつく感じることもあります。

むくみで体内に水分がたまり、数日で1〜2kg急に増えることがあります。
体重変化は心不全悪化のサインになり得ます。

心臓が十分に血液を送り出せなくなると、少し動いただけで疲労や動悸を感じやすくなります。

症状が進むと全身に必要な血液が行きわたらず、だるさや食欲不振につながります。

特に高齢の方では「年齢のせい」と見過ごされやすく、気づいたときには進行していることもあります。

心不全の原因(背景にある病気・生活習慣)

心不全は1つの原因でも発症しますが、複数の要因が重なって発症することもあります。

  • 狭心症・心筋梗塞
     心臓の血管が狭く・詰まり、筋肉がダメージを受けることで心機能が低下します。
  • 心筋症
     心臓の筋肉が厚くなる・拡大して薄くなるなどの変化が起こり、ポンプ機能に影響が出ます。
  • 弁膜症
     心臓内部の弁(内部を仕切る扉)がうまく閉じない・開かないことで血流が乱れ、心臓に負担がかかります。

高血圧は心不全の非常に大きな原因です。
血圧が高い状態が続くと、心臓は強い力で血液を送り続ける必要があり、筋肉が肥大し、徐々に機能が低下していきます。

脈が乱れ、効率的に血液を送り出せなくなることで心不全化します。特に 心房細動 は心不全の悪化と深く関わっています。

動脈硬化が進行し、心臓への血流が低下することで心不全になります。

・塩分のとりすぎ
・運動不足
・肥満
・過度な飲酒
・睡眠不足やストレス

これらは心臓への負担を高め、心不全の発症や悪化につながります。

放置するとどうなる?

心不全は放置しても自然に良くなる病気ではなく、進行性に悪化していきます。

● 症状の悪化
初期は動くと息が切れる、倦怠感が出る程度ですが、進行すると安静時(特に横になると)でも呼吸が苦しくなることがあります。

● 急性心不全
風邪・脱水・塩分過多・不整脈をきっかけに、急に呼吸困難が強まり、緊急治療や入院が必要になります。

● 腎臓への影響
心不全は腎臓と密接に関わっています。心不全により腎機能が低下することでさらに心臓の負担が増え、悪循環に陥ることがあります(心腎連関)。

● 生活の質(QOL)の低下
少し歩いただけで息切れし、体が重く感じるなど、日常生活が大きく制限されます。
心不全は早期発見・早期介入によって進行を遅らせることができます。
「少し変だな」と思った段階で受診することが大切です。

心不全はどうやって調べる?検査と受診の目安

心不全の診断には、心臓の動きや体内の血液状態を客観的に評価する検査が必要です。

  • 心電図:脈の乱れや虚血の有無を調べる
  • 心エコー(超音波検査):心臓の動き・大きさ・ポンプ機能を評価
  • 胸部レントゲン:心臓の大きさや肺のうっ血を確認
  • 血液検査(BNP・NT-proBNPなど):心臓への負担の程度を評価

これらを組み合わせることで、心不全のステージや治療方針を判断します。

  • 息切れが続いている
  • 足のむくみが取れない
  • 横になると呼吸が苦しく寝づらい
  • 最近急に体重が増えた
  • 健診で心肥大や心機能低下を指摘された

症状が軽い段階でも、早めに受診することで悪化や発病を防ぐことができます。

生活でできる心不全予防と再発予防

心不全は生活改善によって進行を遅らせることができます。

  • 塩分を控える(1日6g未満を目安)
  • 体重管理を続ける(増加は悪化サイン)
  • 適度な運動(医師と相談の上で)
  • 禁煙する
  • 飲酒を控える
  • 風邪・感染症に注意する
  • 睡眠を確保し、疲労をためない
  • 血圧・脈拍・むくみのチェックを習慣化する

これらを行うことで、悪化の早期発見につながります。

まとめ

心不全は、心臓が“疲れてしまった状態”ともいえる病気で、息切れ・むくみ・だるさなど、身近な不調として現れます。
初期症状は年齢のせいと見逃されることも多いですが、早めに対策を始めることで症状を抑制したり進行を遅らせ、生活の質を大きく守ることができます。

特に、高血圧・不整脈・心筋梗塞・糖尿病などを持つ方は心不全のリスクが高く、日々のチェックが重要です。
「最近息切れが気になる」「足がむくむ」「健診で生活習慣病や心臓に異常を指摘された」という方は、早めの受診が安心につながります。

安藤医院では、循環器専門医が心臓の状態を丁寧に評価し、生活習慣を含めたトータルの心臓ケアを行っています。
気になる症状が続く場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
小さな気づきが、将来の大きな病気を防ぐ第一歩になります。

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